転校生のカノジョのヒミツ

ここで、看護師が雪菜さんを呼びにやってきた。

「一方さん、そろそろ・・・」

雪菜さんの表情が一瞬強張り、

そしてその一瞬後には笑顔になって言った。

「はい、じゃあね海、本当にありがとう」

「雪菜さん、あのさ、昨日のことなんだけど・・・さ」

ここまで言うと雪菜さんの笑顔が消えた。

看護師さんも姿を消していた。

真剣な顔で俺の言葉を待っている。

「まだ分かんないんだ。好きとか恋愛感情とか?そういうの。だから、だからさ・・・」

俺も真剣な顔で彼女に言った。

「もっと、雪菜さんのこと見て、もっとちゃんと雪菜さんを知って、んで・・・それで・・・その上で返事させてください、お願いします」

彼女は本当につらそうな顔をして、

「はい。分かりました」

と言った、涙を流して笑った。

彼女は自分の未来を信じてない。

この涙が物語ってる。

でも、本人が信じてなくても俺は信じているから、

だから、

「またな。」

この言葉が残酷なのは知ってる。

でも、

「はい、また今度」

俺はこの言葉を君にどう押しても言わせたかった。
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