グッバイ・ティラミス
「なっちゃんを助けるよ。」
「一番の生徒」じゃ、ダメなんだ。
いくら他の生徒を超えても、意味ないんだ。
私は中村先生に、勝ちたいんだ。
「…そっか。」
なんて言葉を返したらいいのか、わからない。
自分で聞いたくせに、言葉が喉に絡まったように上手く声を発することができなくて。
先生を見ないように、問題集に視線を向ける。
昔だったら素直に喜ぶことができた言葉も、今の私には喜べない。
「よし!!英語の続きやるか!!!」
「…なっちゃんは、やっぱり唐突だね。」
だって、私が先生に「好き」って言ったら、先生は困るでしょう?
私から距離を置こうとするでしょう?
私は中村先生には、勝てないんでしょう?