グッバイ・ティラミス



「本当にいいの?」

「いいよ。」



なんだか、夢みたいだ。


先生が私の名前を呼んでくれる。先生が、私の目をしっかりと見て話をしてくれる。
先生が中村先生じゃなくて、私のためにティラミスを一緒に食べてくれる。


心がウキウキふわふわしていて
今なら空も飛べてしまうんでないかってくらい心が軽くて


先生、私、夢をみてるみたい。



「先生なんで、ティラミス嫌いなのー?」

「だって、苦いのか甘いのかわかんないじゃん。」



ーーこの日はもう、英語の勉強をしなかった。


先生もパソコンで仕事をすることもなく、学校や英語のことを話すわけでもなく、私とのおしゃべりに集中してくれていて。


アホみたいな発想だけど、一瞬だけ、先生の恋人になれたような気がしたの。





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