グッバイ・ティラミス
甘くて、苦い。
少しだけお酒の風味がして、頭がふわふわする。
ムース状の柔らかいマスカルポーネと苦いコーヒーのスポンジが、上手い具合に絡まって。
口に広がる絶妙な甘苦さに、私はいつも抜けられなくなる。
…私は、ティラミスが大好き。
先生が、大好き。
「…先生は、ずるいよ。」
ダメだという気持ちがあったのか不思議なくらいに、自然と口から言葉が溢れおちた。
胸が、ずっしりずっしり、甘くて重たい。
口の中では、食べてもいないティラミスの味が広がっている気がする。
先生と過ごしてきた金曜日はとても幸せで、甘ったるくて、だけど、時々苦くて。
たまに苦かったけど、甘さの方が多いんです。
その甘さが大好きで、私は抜けられなかったんです。
「先生、好きです。」