グッバイ・ティラミス
あれから私は高校を卒業して、大学生になった。
もう、大学3年生。就職とかそういう、明確な未来のことを考えなくてはいけない時期に差し掛かる。
あの時の私は、自分が大学生になってることなんて想像さえもしていなかったな。
「ねえ、たくや、私の高校時代の話、聞いてくれる?」
あの時の私は、自分のことだけで精一杯だった。
周りなんて一切見えていなかったし、ただ「好き」という気持ちだけで突っ走って、先生にたくさんの迷惑をかけたと思う。
青かった。
自分の恋を成就させることに夢中だった。
高校時代の自分を思い返すと、周りも見ずに暴走した自分が恥ずかしくて、ジッとしていられないようななんとも言えない気分になるんだけど
それでもね、先生、あのね
先生に全力で恋したあの時の私は、キラキラと輝いているの。あの時の思い出は、私の宝物なのです。
ぽつり、ぽつりと
私はあの時の思い出について話はじめた。