グッバイ・ティラミス



「…ねぇ。」



先生が説明しているのを、遮った。先生が少しだけ無表情にこちらを見る。


話の腰を折ったことに、少し嫌悪感を抱いてるのかな。表情に感情が一切入っていないから、先生が何を考えているのか、イマイチわからない。



「…なんですか。」

「先生、彼女いるのー?」



的外れな質問をしているって、わかってる。こんなことを聞くタイミングじゃないことも、わかってる。



でも、それでも聞いてみたかった。
今、聞いてみたかった。


答えてくれないのなんか、わかってるけど。



「望月は英語の質問しにここに来たんでしょう。さっさと、続きを解説するよ。」



…こうすれば、ちょっとだけ、敬語を崩してくれるのも、わかっていたから。



「…はーい。」


質問は流されてしまったけど、敬語ではない口調を聞けたから、満足。

せっかく時間を作ってくれた先生に悪いし、先生の説明を聞くことにする。




< 13 / 125 >

この作品をシェア

pagetop