グッバイ・ティラミス
先生は、優しい人。
わかってる。
だから、こんな私にも優しいし、他の生徒にも優しい。私じゃなくたって、他の生徒が質問すれば、丁寧に教えてあげるんだろう。…わかってる。
だけれども。
今この時間だけは、先生は私のために解説をして、私のために英文を書いて、私に向かって話している。
その事実が、先生を独り占めしているみたいで、胸が物凄く踊る。
「関係副詞を使った構文なんだけど…、あ、そうだ、ちょっと待ってて。」
ーー例えばさ、
先生に、彼女さんがいたら、どうする?
「確か、俺の持ってる参考書に良い感じの例文が載っていた気がする。」
そう言って、席を立った先生。どうやら先生は、どこからか参考書を取りにいくみたいだ。