グッバイ・ティラミス
ーー大誤算だった。
たまたま暑いからと言って窓を開けたのは間違いだったし、風が今日に限って強かったのも運が悪かったし。
そもそも、今日、英語の質問をしに行ったのが間違いだったのかもしれない。
「鞄にしまっておいたはず。」
言いながら、先生が鞄のファスナーを開けた瞬間。
ふわっ、と。
風に乗せられて、先生の鞄の中から紙切れみたいな何かが宙を舞った。
「…ぶっ。」
その紙切れは、私の顔面を直撃。
しかも、わりと厚紙で先っぽが鋭いし。痛い。
なんでよりによって、顔面めがけて飛んでくるんだ。
「もう先生、飛ばさないでくださいよ〜。」
そう言って、顔面に乗っかった紙切れを片手でとった。
あまり注意して見てなかったからわからないけど、視界の隅っこにいた先生は珍しく慌てていた気がする。
飛んできた紙切れを何気なく見て、私は絶句してしまったの。