グッバイ・ティラミス
始まりのプロローグ
「先生先生っ!この問題わからないんですけど、解説してくださーいっ!」
帰りのホームルームが終わって、ものの5分。向かう場所は、隣の教室。先生が担任している、クラス。
英語の学校指定の問題集を持った私は、廊下の外から先生のクラスを覗き込み、大きな声を張り上げる。
「先生!せーんーせーい!」
…あぁもう、先生、気づいてくれない。困り果てた私が使うのは、最終手段。
視線攻撃。
「……。」
教室で黒板を消してる先生の姿を無言でひたすらジーッと見て、先生が気づいてくれるのを待つ、っていう作戦なんだけど。
「……。」
じー。
…先生、気づいてくれないな。
「……。」
じー、じー。
…やっぱり、気づいてくれない。
「……。」
仕方ないから視線攻撃は諦めよう。…そう思った、矢先。
先生の視線が、不意に私を捉えた。