グッバイ・ティラミス



「これって、私たちの学校の中村先生じゃ…?」



最初見たとき、髪下ろしてて、メガネしてなかったから、わからなかったけど。
よくよくみたら、中村先生に似てる。


っていうか、絶対そう。
間違えない。中村先生だ!


「え、うそ、先生、中村先生と付き合ってたの〜!?!?」



ーーそう言った瞬間。

先生に、口元を手で覆われた。



「……っ。」

「あんまり大きい声出さないでください。」

「……。」

「周りに、ばれてしまう。」



そういった先生の声は、私の口元を手で覆っている分、すごく近くで聞こえて。先生の手のひらが、私の口元に触れていて。


「……。」



皮肉、だ。


初めて先生に触れたのも、先生の新しい表情を見たのも、彼女さんの存在を知る時なんて。彼女さん絡みだなんて。



先生の熱が、先生の手のひらから私の唇に伝わって、私の身体に充満していくみたいで。


こんな時まで、先生を意識してドキッとしてしまうなんて、ずるい。

先生を動かしたのは、彼女さんの存在なのに。





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