グッバイ・ティラミス



よかった。


先生、ちゃんときてくれた。
すっぽかされるんじゃないかと思ってた。



…よかった。



「…嘘。本当は忘れてたでしょ!」

「わ、忘れてなんか、ない、ですよ…。」



……絶対、忘れてたな。


視線が泳ぎまくりな先生をみながら、私は思わずため息つきたくなる。


まぁ、別にいいや。
来てくれただけで、十分。


「もう、仕方ないから許してあげます。」

「だから、忘れてないって…!」

「先生、早く始めましょうよ!」

「……はい。」


ふと目があった先生は、困ったように笑っていた。
そして、私が怒ってるとでも勘違いしたのか、ごめんって、手を合わせてジェスチャーしてくる。



別に怒ってないのに。






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