グッバイ・ティラミス
先生と私は当たり前だけど、先生と生徒。
もしかしたら私は、この前提がある時点で、中村先生と同じ土俵にも上がれていなかったのかもしれない。
「ねぇ、先生ー。」
「なんですかー。」
「彼女さんと、順調?」
先生のペンを動かす動きが、ピタリと止まった。
横顔だけじゃ、いまいち先生の感情が読み取れない。
「…ご想像にお任せします。」
「……。」
…はぶらかしやがった。
そうやって、上手く冗談ぽく質問を交わして。先生は、本当に大事なことは何ひとつ教えてくれない。
私が生徒だから?
なんだかムカムカする。