グッバイ・ティラミス
「…別にいいじゃないですか。」
自分が思っている以上に、ツンケンとした声が出た。
あからさま不機嫌な私の声に、先生は下を向いていた顔をあげる。
やだ。
こんなの子どもっぽい。
私今、絶対、嫌な顔をしてる。
そんな顔、見られたくない。
でも止まらない。
「今更隠したって仕方ないでしょう?
…付き合ってることはもう、私は知ってるんだし。」
「……。」
「そんなにプライベートなことを生徒に話したくないんですか。」
抑えられない感情を、私は先生の喋る隙さえ与えず、早口で言い切って。
先生の視線が突き刺さるように感じたから、表情を見られないようにと顔を背ける。
こういうところが、私はまだ「生徒」なんだろうな。
「生徒」でしか、なれないんだろうな。
だってこの感情、私、知ってるもん。
ただのヤキモチだ。
私がヤキモチ妬いたところで、先生は子供扱いしかしてくれない。