グッバイ・ティラミス
あの人と私
中村先生の授業は、いつだって五月蝿い。
「ですので、これを微分すると…、」
ざわざわ ざわざわ
ゲラゲラ ゲラゲラ
「Xになり…、」
「ぎゃはは、まじかよ!」
「サイテー!!」
「うける〜。」
「……。」
…あーあ、中村先生、黙っちゃった。
教卓の前で困ったような、オドオドしている先生を見て、ため息をつきたくなる。
中村先生の教科は、数学。
中村先生が何も言えないのを知ってるからか、クラスメートは毎時間のように、騒いでる。
それを私は同情しようとは思わないし、助けてあげようとも思わないけど。
だからといって、クラスメートと一緒に授業を騒ごうとも思わない。
正直、中村先生が困ってようが何してようが、ぶっちゃけ私はどうでもいい。
ただ、静かに普通に授業を受けるだけ。