グッバイ・ティラミス

あの人と私





中村先生の授業は、いつだって五月蝿い。



「ですので、これを微分すると…、」


ざわざわ ざわざわ
ゲラゲラ ゲラゲラ


「Xになり…、」


「ぎゃはは、まじかよ!」
「サイテー!!」
「うける〜。」


「……。」



…あーあ、中村先生、黙っちゃった。
教卓の前で困ったような、オドオドしている先生を見て、ため息をつきたくなる。



中村先生の教科は、数学。


中村先生が何も言えないのを知ってるからか、クラスメートは毎時間のように、騒いでる。


それを私は同情しようとは思わないし、助けてあげようとも思わないけど。
だからといって、クラスメートと一緒に授業を騒ごうとも思わない。


正直、中村先生が困ってようが何してようが、ぶっちゃけ私はどうでもいい。
ただ、静かに普通に授業を受けるだけ。



< 37 / 125 >

この作品をシェア

pagetop