グッバイ・ティラミス
恋は性格を悪くさせる。
中村先生が生徒に雑に扱われる度に、内心シメシメと思ってしまう。
もっと、困ってしまえばいい。
クラスメイトも、もっと騒いでしまえばいい。
ちょっとくらい、不幸になってしまえばいいんだ。
「……あっ。」
…なぁんて、先生に知られたら終わりのようなことを考えていたら。
ガッシャーン
盛大に筆箱を落としてしまった。
まるで筆箱から逃げ出すように、あちこちに散らばっていく、消しゴムやペンたち。
収束がつかなくなっていくそれらを見つめながら、私はため息を吐きたくなった。
「……。」
めんどくさ。
一瞬だけクラスメイトが私のことをチラッと見て。すぐにみんな、何事もなかったように話し始める。
人間って、わりと冷たい。
自分の近くに来たのだけ拾ってくれる優しい子もいるけど、大抵みんな知らんふりだ。
別にいいけど。