グッバイ・ティラミス
ベビーピンク
「先生ー。」
「んー?」
「中村先生といつから付き合ってるの〜?」
あれから4、5度目の金曜日。
これだけ繰り返し講習をやっていれば、忘れっぽい先生でも、金曜日の放課後は「私との約束がある」って、定着したみたいで。
私がいることが当たり前であるかのように、隣でパソコンをカチカチやってる先生に、なんだか私は嬉しくなる。
先生の日常の一部に溶け込めたみたいで、嬉しい。
「…突然どうしたんですか。」
先生のタイピングをする手が一瞬だけ止まって。平静を装ったのであろう声も、少しだけ高くなってる。
先生は、動揺したとき目が泳ぐ。
非常にわかりやすい。
「なんか気になって。」
言いながら、英語の長文を読んでいく私。
こうやって、英語の勉強をしながら、雑談をできるようになったのはいつからだろう。
なんてことない普通の話題を気兼ねなくできるようになったのは、いつから?
英語以外の話をしても言葉を返してくれるようになった先生に、私の胸は弾む。
前から仲は良かったけれど、それとは比べものにならないくらい、私と先生は打ち解けあっている。