グッバイ・ティラミス



先生の趣味に、先生の誕生日。
年はもちろんだし、出身大学に家族構成まで。


この何回かの放課後講習で、私の先生の知識は莫大な量となった。


多分、私は他の生徒が知らない先生の情報も知ってるし、他の生徒が知らない先生の表情を知っている。
先生には、大分詳しくなった。



先生も私に打ち解けてくれてるように見えるし、心も開いてくれてるんだろうけれど。



それは、私が生徒だから。
恋愛対象という枠組みに入っていないからなんだと思う。



「なんとなく、って…。」

「いーじゃん、教えてよ!」



だって、先生は教師だもん。

先生は真面目な人だから、生徒に好意を持たれてると知ったら困ると思うし、きっと距離を置こうとすると思う。


先生はそれくらい仕事に誠実で、真っ直ぐな人だった。




「…確か、由美と付き合い始めたのは…、」



…新たなる、発見。

先生、中村先生のこと「由美」って呼んでるんだ。





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