グッバイ・ティラミス



ーー私にはこういう、癖がある。


聞いたら自分が苦しくなることがわかっているのに、自分からあえて聞いてしまう。


自分で聞いておけば、心の準備ができる。クッションが引ける。
不意打ちで事故を起こすより、絶対にいい。



「…、」


先生は驚いたように、目を見開いていた。だけど、見開いたあと、すぐ笑う。



その微笑みは、とても優しくって。

きっと中村先生を見る時もこんな表情をするんだろうなって、そう感じてしまった。


それくらい、優しかった。



「まだ、わからないよ。」

「えっ…。」

「来週になったらわかるから。教えてあげる。」



ーーねえ、先生。

それは来週、中村先生にプロポーズをするということ…?





< 51 / 125 >

この作品をシェア

pagetop