グッバイ・ティラミス



「じゃあ、俺に続いて例文を読んでください。リピートアフターミー。」




ーー先生の英語は、聞いていて心地がよい。



「If I were the bard, I would fly to you.」
「「「If I were the bard , I would fly
to you.」」」



流暢に紡ぎ出される文章たちは、発音されているというよりは、先生が生み出しているみたいで。

流れるように、しななかに。
スウーッと、耳に馴染んでいく。


低くて丸みのあるその声は、英語と綺麗に混ざりあって、一つのハーモニーを作っているかのように。


先生の英語は、耳に入れても痛くないようなものだった。



「……。」



でも、それも努力をしてるからこそなんだろうなぁ。


先生と親密になったからこそわかるけど、先生は真面目な人。

仕事にも、人間関係においても、努力をしっかりできる人。


きっと、何度も何度も発音練習をしたんだと思う。


そういう背景を想像するだけでも、胸がギュッっとなる。




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