グッバイ・ティラミス


皮肉なものなのです。


先生と仲良くなって、先生の人柄に触れるたびに、私が知ってる先生の素敵なところが増えていく。

先生の内側を見ればみるほど、私は戻ることのできない道をどんどん進んで行ってる気がする。



私、どうしようもないくらいに、前よりもずっとずっと、…先生が結婚するかもしれないって知る前よりも、先生のこと好きになっている。



「…はぁ。」



リピートアフターミー、にも参加せず、小さくため息をつく。



If I were the bard , I would fly to you.

…私が鳥なら、あなたのところに飛んでゆくのに。


先生が提示している例文を頭で訳して、自分の中で仮定法が定着しているのを実感して。



私が鳥だったら、今すぐ先生のところに飛んでいくのに。仮定法できるようになったよ、って伝えにいくのに。



当たり前といえば当たり前だけど、私は今、先生の前にたくさん並んでる生徒の中の、1人。


先生は目の前にいるのになんだか遠くて、フィルター越しで見てるみたいで。

なんだか、心が嫌な感情で埋まってしまいそう。








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