グッバイ・ティラミス



どうやったら、先生の特別になれるのかな。


彼女になりたいわけじゃないって言ったら嘘になるし、今でもなれるものならなりたいって思ってる。


でも先生には中村先生がいて、結婚秒読みかもしれなくて、嫌でも私が割って入れる状況じゃないってこともちゃんとわかっていて。



だから、私、一番の生徒になりたいの。

先生の頭の記憶でもいいから、「あいつ元気かな」ってたまに思い出してもらえるような存在になりたい。



「ーー望月さん。」



先生が、私の名前を呼んだ。



「へっ…?」


急なことだったから、何が起きてるかわからなくて。


だって今、授業中だし。先生が私の名前呼ぶわけないし。先生は授業中、生徒をささない人だから、名前を呼ばれたことないし。
私の聞き間違えかな?いやでも確かに呼んだよね?



イマイチ受け入れ難い状況に、私はパニックになる。今絶対、私間抜けな顔をしてる。



先生はそれを見兼ねたように、もう一度私の名前を呼んだ。



「望月さん。この例文を訳してください。」
「え、あっはい。」







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