グッバイ・ティラミス



焼き付けるかのように、黒板をジッと見つめる。



If I had never met you, I would not have known these feelings


…もし、あなたに出会っていなかったら

こんな感情、知らなかっただろう。



「もしもあなたに出会えなかったら、こんな感情知らなかっただろうに。」



喉の奥のそのまた奥の心の方が、震えている気がする。その震えが声にまで伝染して、違和感を感じるくらいの上ずった声が出た。



ずるい。
こんな英文、ずるいよ。



「正解。」



先生は満足げに、にっこり微笑んでいて。それは他の人から見たら、いつも通りの先生なんだけど、私には違ったように見えて。


先生が、「さすが望月。」って、メッセージを送ってくれたような気がしたの。


私にしかわからない、特別な微笑みで。



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