グッバイ・ティラミス



「なんですかー??」


とてとて、っと。
小走りで先生の元に近づいて。


男の人の中ではそんなに高くはないけど、私からして見たら十分背の高い先生と立って話す時は、必然的に見上げる形になる。



先生、背、わりと高い。

喉仏に、首筋。授業を受けてるだけじゃあまり見ることのない先生のアレコレを間近で見て、ちょっとだけドキドキする。



「仮定法、できてるじゃん。」

「へっ…?」

「頑張ってたもんね。すごいじゃないですか。」



……えーーっと、なんていうか、

それだけ??
それだけのために、わざわざ私を手招いたの???



「先生の、おかげです。」



先生も私とちょっとは話したいと思ってくれていたのかな。
私のこと、授業中も少しは考えてくれたのかな。


そんな自意識過剰すぎる妄想が、頭の中を飛ぶ。



「…望月って、下の名前、菜摘っていうんだね。」



でも、今までみんながいるとこで先生から話しかけてきたり、雑談したりすることはなかったから。

なんだか、それだけですごく、嬉しい。




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