グッバイ・ティラミス
せんせい、せんせい。
ちょっとは私のこと特別だと思ってくれていますか。
ちょっとは他の生徒より飛び抜けた存在に、私はなれてますか。
「え…?」
「さっき指名したとき、名簿見て思って。望月、菜摘っていう名前だったんだーって。」
「……。」
「確かに、なっちゃん、って、友達にも呼ばれてるもんね。」
ーーーーなっちゃん。
先生に呼ばれるだけで、なんでこんなにも自分の名前が甘酸っぱく聞こえるんだろう。
「なっちゃん。なっちゃん。」
「……。」
先生は、このあだ名を気に入ったみたいだ。
なんか、楽しそうに繰り返し口ずさんでる。
なっちゃん
なっちゃん
なっちゃん
先生に呼ばれると、くすぐったよ。
先生は「なっちゃん」って呼ぶことに意味はないかもしれないけど、私は胸がいっぱいになって、ドキドキが溢れ出しそうになるんだよ。