グッバイ・ティラミス




なっちゃん



先生が口にするだけでそれは、大切なものになる。
先生によって発声されたその感覚を忘れないように、耳で必死になぞっていく。


なっちゃん



他の生徒はあだ名で呼ばれてるの見たことないし、中村先生にさえ言うことのない、私だけの先生からの言葉。


胸がトクンと高鳴って私はニヤニヤが漏れないように平静を装うだけで、精一杯。



「なんなんですか。」



先生と私が、生徒と教師じゃなかったら、素直に喜びを表現することができたのかな。

先生が中村先生と付き合ってなかったら、素直になることが許された?



なっちゃんって呼ばれることは、すごく嬉しいけど。嬉しくなるたび、私は濁った感情にも包まれる。



先生には、中村先生がいるんだ。











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