グッバイ・ティラミス


例えば、


先生に質問をいっぱいしに行ったら、先生の印象に深く刻み込むことができるんだろうか。

先生に進路とか学校生活とか、深刻な悩みを打ち明ければ、他の生徒よりも気にしてもらえる?



でも、そんな生徒はいっぱいいるんじゃないかな。そんなの、先生に迷惑なんじゃないかな。



私は、自分でも常識だけはあると自負していて。ちゃんと、生徒と先生の恋愛がダメなことも知っていて。

先生にとっては私の気持ちが厄介なものだというくらい、自覚していた。先生のことを思って身を引く努力もしたし、やめようとも何度も思った。



でも、それでも私は先生にどんどん惹かれて。やめようと思えば思うほど、先生への気持ちは強くなって。


心は自分の意思とは裏腹に、欲求に素直だった。


会えたら、嬉しい。
だから、会いに行っちゃう。

話したら嬉しい。
だから、話しかけちゃう。

私は先生が好きなのを、やめることができなかった。



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