グッバイ・ティラミス
知らないんでしょう?
私のこの気持ちの一切れも、先生に届くことは、ないんでしょう?
私がどんなに先生を想っても先生はそれを知ることはないし、私の中だけで終わってしまう。
私のこういう葛藤とか、苦しみとか、ドキドキとか、全部、先生に届かないままで私の恋はなくなってしまんだ。
先生を困らせたいわけではない。
でも少しは、私のことで困ればいいと思う。
先生に気持ちがばれてほしくないと思う。
でも少しくらいは、知ってほしいと思う。
私の恋は、先生に届くことさえ許されない。
「ーーーなっちゃん。」
ーー心臓、止まるかと思った。
色々考えにふけっていて、先生からの呼びかけは全て無視していたのに。無視する、つもりだったのに。
なっちゃん、って。
甘く呼んだその声に、私は意思とは関係なく、顔を先生の方に向けてしまう。