グッバイ・ティラミス
「…あ、でもこのことはまだ、他の生徒には言っちゃいけないんだ。」
「……。」
「四月までは一応、年度内に結婚したとしても結婚してないことにしなきゃいけないし。生徒に漏れたら色々やりにくいから。」
ねぇ
私、こんなことを聞かされるために、先生と仲良くなったんだっけ?
先生の結婚を祝うために、先生と仲良くなったわけじゃ、ないじゃん。
「ーー先生となっちゃんとの、二人だけの秘密ですよ?」
……あぁ、
心が、悲鳴をあげている。
「……うん。」
秘密、だなんて、どこまでも甘い言葉。他の生徒の知らない、私と先生だけが、知っていること。
先生との秘密の共有は、どこまでも甘酸っぱくて、どこまでも苦い。
…純粋に嬉しいけれども、甘く甘い中に、とてつもない苦さが充満している気がする。
「私と、先生の、秘密。」
ーーーー先生の、
特別には、なれたよ。
なっちゃんと呼ばれるくらいには
“二人だけの秘密”を持つくらいには
私と先生の関係は特別だし、他の生徒とは違うんだと思うよ。