グッバイ・ティラミス




「…先生。」



もう、無理だ。


私は先生を好きになりすぎてしまった。


こんな特別、嬉しいけど、嬉しくないよ。



「ティラミス、喜んでもらえましたか?」



心で泣きながら、表面で笑ってる。

秘密の内容が、先生と先生の好きな人の結婚なんて、どこまでも残酷。




「あぁ、喜んでたよ。
久しぶりに食べたけど、やっぱり僕は苦手だな。」



…食べたんだ。

ティラミス苦手なのに、好きな人のためなら、食べるんだね。


先生はどこまでも中村先生に優しくて、本当に、中村先生のことが好きなんだね。




「勿体無いよ。」



ーーねえ、先生、知ってる?




「ティラミスが苦手だなんて、勿体無い。」




私もティラミスが大好きなんだよ。

世界で1番好きな食べ物、ティラミスなんだよ。




「ティラミスほど美味しい食べ物、ないっていうのに。」



ねえ、先生。


私がティラミスを食べたいと言えば、先生は中村先生と同じようにティラミスを食べてくれますか…?








































< 82 / 125 >

この作品をシェア

pagetop