グッバイ・ティラミス
「…先生。」
もう、無理だ。
私は先生を好きになりすぎてしまった。
こんな特別、嬉しいけど、嬉しくないよ。
「ティラミス、喜んでもらえましたか?」
心で泣きながら、表面で笑ってる。
秘密の内容が、先生と先生の好きな人の結婚なんて、どこまでも残酷。
「あぁ、喜んでたよ。
久しぶりに食べたけど、やっぱり僕は苦手だな。」
…食べたんだ。
ティラミス苦手なのに、好きな人のためなら、食べるんだね。
先生はどこまでも中村先生に優しくて、本当に、中村先生のことが好きなんだね。
「勿体無いよ。」
ーーねえ、先生、知ってる?
「ティラミスが苦手だなんて、勿体無い。」
私もティラミスが大好きなんだよ。
世界で1番好きな食べ物、ティラミスなんだよ。
「ティラミスほど美味しい食べ物、ないっていうのに。」
ねえ、先生。
私がティラミスを食べたいと言えば、先生は中村先生と同じようにティラミスを食べてくれますか…?