グッバイ・ティラミス
教室は、どんどんどんどん煩くなっていく。
数学の授業は普段から煩いけど、中村先生が黙ってしまったことにより、五月蝿さに拍車がかかってしまったみたいで。
クレッシェンドがかかるみたいに増えていく音声に、中村先生はキョロキョロすることもやめて俯いてしまった。
「……。」
本当に意味わかんないよ。
教室を沈める努力も生徒の目を気にしてできないくせに、悲劇のヒロインヅラしてる中村先生が理解できない。
……もっと、五月蝿くしてしまえばいいんだ。もっと、困らせてしまえばいい。
中村先生なんて、…中村先生なんて、
困ってしまえば、いいんだ。
だって
ーーどうせ、先生に慰めてもらえるんでしょう?
先生に愚痴言って、同情してもらって、頭ポンポンとかしてもらったらいいじゃん。ギュッてしてもらえばいいじゃん。
どうせ先生に慰めてもらえるんでしょう?先生に、甘えるんでしょう?
中村先生なんか、
困ってしまえ。
「ーーいい加減に…、してください。」
蚊の、泣くような声だった。