グッバイ・ティラミス

先生のお城




先生は英語科準備室を、自分のお城のように扱っている。




「適当に座っていいですよー。」



英語科準備室に入った私は、先生に言われた通り置いてある椅子の一つに座った。


英語科準備室は、英語科の先生たちの人数分、椅子と机がセットで置いてあって。先生1人につき、一つずつ使えるようになってるのだけど。


私は、そこを先生以外の他の先生たちが使ってるのを見たことがない。



だから、先生以外の他の人たちの机はもの一つなく綺麗だし、多分、きっと使ってもバレないから遠慮なく座ることができる。



ここでいつも先生に質問をしている私は、そこら辺の状態は把握済みだ。



「今度はどこがわからないんですか?」

「えっとねー。」



誰だかわからない、私の隣の机の椅子に腰をかけた先生。
先生が座ることで起きた風が、私の髪を優しく揺らして。一緒にやってきた匂いに、胸がトクンとなる。





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