ツンデレ彼女。
「......あっちの角を曲がってから大通りに出る所の近く」
昴は「ふ~ん」と鼻であしらった。
ふと一瞬、昴の足が止まったが
すぐにまた踏み出した。
理恵は特に気にせずに歩みを進める。
しかし二人の隣には『北条』という
表札の書かれた家があった。
レンガ造りの古風あふれる
大屋根の家だった。
「......なぁ」
理恵が突然口を開いた。
雨が視界の先をさえぎる。
「何だぁ?」
「あの......本当によかったのか?」
「何が?」
「いや......その、私と帰って」
理恵が俯きながら雨の音にもかき消されそうな声で言った。