ツンデレ彼女。
「......ここまででいい」
突然、ピシャリと水溜まりを蹴る音がした。
理恵は立ち止まり、数十メートル
先にある大通りを指さして言った。
「いや、でもお前濡れて......」
「じゃあな。今日は傘に入れてくれて助かった、一応礼を言っとく」
「なーんか硬くるし」
「だまれ童顔」
そう言い捨てると、
理恵はそそくさと雨のカーテンの向こうに消えていった。
それを呆然と立ち尽くしながら
見つめる昴。
その表情は何とも言えない、
拍子が抜けたような顔だった。
「......何してんだろ、オレ」
呟きながら、元来た道を戻って行った。
理恵と通り過ぎた『北条』という
家に足を運ぶ。