heart and cold~私には貴方だけ~【完】
ーあの時ー
「璃花?おーい。璃花!?璃花――――!!」
いきなり璃花から返事がなくなった。
何でだ…?
もしかして、あの時みたいに…
不安が頭を支配し始めると、昔の悲惨な光景がフラッシュバックする。
グッと拳を握りしめて堪えても、体中が怒りや後悔、醜い感情に染まって震える。
「クソッ…!」
大切な人を護れなくて悔やむのは二度としたくない!!
俺は通話を止めずに時々あっちの音を聞きながら璃花の家に向かった。
電話の向こうはずっと静かだ。
何も起こっていないのか?
でも通話中なのに璃花から返事が全くない。
どうして?
玄関に着くと、インターフォンを押そうとせずにドアに手をかける。
鍵は開いていた。