heart and cold~私には貴方だけ~【完】





「姉ちゃんもおつかれ。どしたの?」



歩みを止めずに聞く。



「んー珍しく部活が早く終わったから、弟の頑張りを見ようかなと…」



「本当かよ?」



「あはは」



笑ってごまかす癖は、嘘を見抜かれたときに出る。



「そーいえばいつもうちに帰ってくんのも俺が帰ってきた後だし。わざわざ遅くまでやる部活に入るし。どして?」



「………」



しばしの沈黙の後、姉ちゃんは口を開いた。



「…………ひとりであのでかい家に居るのが怖いのよ……」



「そうだったの!?」



姉ちゃんて怖がりだったんだ…



考えてみると、俺がテレビで心霊スポット特集とか見てると、近寄ってこなかった。



しかも見終わった後に姉ちゃんの部屋に行くと、ヘッドホンで音漏れしまくりの状態で音楽聴いてるの見たことあるし。



なんか縮こまってた気もする…


夜中まで起きてることは、覚えている限りないし、遅くてもいつも十時半には姉ちゃんはベッドに潜ってた。



最近中間テストの対策で夜遅くまで勉強してたとき、わからないとろこがあって10時35分に部屋を訪ねたけど、部屋は真っ暗で姉ちゃんは寝てたな。



あれもこれも、怖いからだったんだ…





< 122 / 346 >

この作品をシェア

pagetop