heart and cold~私には貴方だけ~【完】
「誰もいない部屋に居ると、後ろからすごい気配とか視線とか感じて怖いのよ。誰もいないのに変にものが落ちたりするし。」
あぁーこわっ!と姉ちゃんは身震いをしながら俺の隣を歩く。
「姉ちゃんが中学入るまでは部屋が一緒だったから気づかなかったけど、基本俺が居る部屋にさりげなく入ってきて一緒にいたよな。」
超自然に入ってきた姉ちゃんを思い出す。
「まぁ、そんな感じで、久しぶりに早く帰ってきても怖さで死にそうだったから、校門ではるきを待ち伏せてたのよ。」
「なんか意外だな。姉ちゃんにも女らしいとこがあったんだな…」
(笑)
「失礼ね、こーんなに可愛いお姉様に向かって!」
プクッとほっぺたが膨らむ。
「はいはい。自慢の姉ちゃんですよー」
俺よりも20センチ低い高さにある姉ちゃんの頭にポンポンと手を乗せた。
「全く。気をつけなさい!」
笑いながら帰り道を歩いた。
姉ちゃんは大切な家族だ…
俺のたった一人の姉ちゃん。
そして、そんな俺たちを見ていた奴が、不気味な笑みを湛えていたなんて全く気づかなかった……