heart and cold~私には貴方だけ~【完】
───その日は、また姉ちゃんの部活が早く終わったらしい。
もちろん俺は部活をしてた。
自主練まできちんと。
来るなと言ってから一度も来ていないあいつが
来ていた。
「はぁ…はぁ…」
走り終わって、今までと変わらずに見向きもしないでバッグに向かって歩いた。
「櫻坂くん!」
無視だ無視。
「……大切な人がどうなっても良いの?」
は?
俺は思わず振り返った。
振り返ってしまった…
そこには不気味な笑みを湛えているあいつの顔があった。
「前に校門で待ってた女よ。一緒に帰ってたでしょ?」
……姉ちゃん…?
「その人が、どうかしたか?」