heart and cold~私には貴方だけ~【完】
チラッと見ると、どこか不機嫌そうにはるき君はそっぽを向いていた。
何を考えているんだろう。
はるき君があたしの心を読んでも、あたしははるき君が読めない。
「じゃあ、夏目さんを俺が見るから、君は帰って良いよ。彼氏である俺の義務だし、心配だから。」
また怖さが戻った笑みをしてそう言った。
「いやいや、さすがに悪いですよ!」
怖いですし。
さすがに言えない言葉を飲み込む。
上村君の好意に甘えるべきなのに、なぜかやめた方がいいって頭の奥で言ってる。
怖さがあっても危険はないのに…
うーん。
そういえばさっきはるき君に抱き締められたけど、温かかった。
上村君のときは鳥肌だったのに。
あれ?
鳥肌って良いものだっけ?
そんな思考を回していると…
「璃花は俺に居て欲しいみたいだよ。」
静かだったはるき君が、突然口を開いた。
油断も隙もない。