heart and cold~私には貴方だけ~【完】






「…………………夏目さん」



頭を抱えていた上村君が、不意にあたしを見た。



「なに…?」



まだあたしに言いたいことがあるのかと身構える。



「そいつのこと…好きなの?」



予想を超えた質問に、バクンッと心臓が反応する。



胸が苦しい?



「あの…なんで?」



そっと胸に手を添えてさらなる衝撃に備える。



「僕にはそう見えるから。」



バクンッ



また心臓が過剰に反応する。



不整脈なんだろうか。



とりあえず今は質問に応えた方がいいから一度頭の隅に追いやって、はるき君の方を見てみた。



あからさまに目をそらされてしまった。



はるき君を…好き?



あたしが??



「はるき君は悪い人ではないことは知っているけど、そこまで考えたことがないのでわかんないです。」



正直な気持ちを伝えたつもりだった。



上村君は、



「ふーん…」



と疑っているかのような目つきで、あたしとはるき君を交互に見てから



「でも、もういいや。」



と言った。





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