heart and cold~私には貴方だけ~【完】
「それはできない。」
はるき君は断言した。
「お願い。ひとりに…」
ひとりにして。
その言葉は、はるき君の腕の中に吸い込まれてしまった。
「二人に別れて欲しかったのに、璃花はそうなって傷付いた。」
ギュッと力をいれられて、きつく抱き締めてくる。
バレていた。
傷付いていた、上村君の言動一つ一つに。
「璃花、違うんだ。璃花を傷つけたのは上村じゃなくて俺なんだ。俺は願ってた。そしてそうなるように仕向けていた。だから璃花は、自分が醜いから上村は自分を受け入れなかったなんて、思うな。璃花は俺を責めろ。」
「あたしを傷つけたのは、はるき君。別れて欲しいと願っていたのは、はるき君。そう仕向けたのは、はるき君。だからってはるき君を責めるの?」
確認するようにはるき君の言った言葉を復唱したけど、はるき君を責めることは違うと思った。
「そうだよ。俺を責めて、許さないで欲しい。もう二度と、同じことがないように。」
はるき君は肩に顔をうずめて、もはやあたしに懇願している。