heart and cold~私には貴方だけ~【完】
だからこそ、やっぱり…
「だめ、だよ…」
上手く声が出なくても、あがく。
力も、入らない。
でも離れてもらわないといけない。
あたしが“さくら”に怯える限り。
いや、今ここにいる“さくら”とお互いをお互いが責めて追い詰めようとしている限り。
あたしたちはどちらも幸せになれないのだから。
「璃花…1人にしたくない。そばに居たいんだ…」
「あたしはあなたを責めることが出来ないよ。」
頬に何度も涙が塗り重ねられる。
「どうして?」
彼の罪と彼の優しさ、重なり合っては流れていく。
「その必要がないからだよ。」