heart and cold~私には貴方だけ~【完】
「なに言ってんの。璃花は、俺に一歩も引く必要なんかないんだよ。」
「引いていないよ。ただ、はるき君が後悔して自分を責めているのなら、あたしが責める必要がないってことだよ。」
わかってもらえるように、努めて優しい口調で話す。
「駄目だ。」
「なんで?」
「そんな理由で許せる訳ない。」
「あるよ。」
「いや、絶対ない。」
どうしてこんなにあたしのことを信じてくれないのだろう。
「あたしがそうなの。」
「本当に?」
「本当に。」
もしかしたら過去に何かがあって、はるき君は許されなかったか、自分を許せずにいるのかもしれない。
「大丈夫。あたしは、はるき君の優しさも知っているから。」
そう言って、はるき君を抱きしめ返した。