heart and cold~私には貴方だけ~【完】
5,桜幻想
ーなみだー
───…
小学校3年生の時だった。
いつものように授業を受けて
いつものように友達と笑っていた。
「璃花ちゃん!お父さんが…!!!」
お母さんからの連絡を受けて、担任の先生が息を切らしながら教室に来た。
午後の授業も受けずに担任の先生と車で病院に向かった。
…何がなんだか、あたしには理解できなかった。
お父さんが…どうしたの?
病院に何があるの?
先生はなんで辛そうなの?
分かんないよ…
車中で先生が言っていることも、状況も一切頭に入ってこなくて
なにもかも頭はついて行けなかった。
なにを理解すればいいのかわからなかった。