heart and cold~私には貴方だけ~【完】
『璃花が独り立ちするまで、見守ってやれなくてごめんな。』
お父さんは…
最後の力を振り絞って、微笑んで旅立った…
「お父さん…!」
涙が溢れて、お父さんにかけられていた真っ白な布団を濡らした。
お母さんは、居なかった。
仕事で、同僚の1人が熱を出して休んだせい。
でも、当時のあたしはそんな理由なんかどうでもよかった。
お父さんの最期に、
お母さんが“居なかった”
それだけが頭の中を駆け巡った。
お父さんが眠ってしまった…
なのに
──お母さんが居ない──
どうして来ないの?
泣き疲れて、放心状態になって、お父さんの寝顔をずっと見ていた。