heart and cold~私には貴方だけ~【完】
黒い瞳が綺麗で─
見つめられて動けない。
鼻と鼻が触れそうな距離ではっとした。
何がしたいのかわからなくても、マズい気がする。
でも叩いたら失礼だし、もしかしたら誤った行動で傷つけてしまうかもしれない。
どうしたらいい…?
ギュッと目をつぶった。
「よかった」
額に温もりを感じて、そうはるき君の言葉が耳に届いた。
「え?」
状況確認で目を開けると、バチッと間近で目が合って肩が跳ねた。
「璃花が遠くに感じて…」
安堵したらしく、柔らかく微笑む。
「そんな、こと…」
本当にあたしはどうしてしまったのだろう。
はるき君の笑顔でみるみる頬が熱くなる。
「熱いよ?大丈夫?」
そんな優しくされては、熱は上がる一方。
なんで?どうして?
混乱した頭で必死に考えても答えは出ない。
「璃花?」
「だいじょッ…!」
額を離して顔をよく見ようとしたらしいはるき君と、とにかく離れたくて顔を動かしたあたしは
ほんの少し、ほんの少しだけど確かに
唇が触れてしまった…