heart and cold～私には貴方だけ～【完】

ポタリ…ポタリ…と



止まることを知らずに頬を伝って雫が落ちていく。



｢璃花…｣



顔を歪めたはるき君は、あたしを抱きしめようとする。



｢違うの…嬉しいの…｣



はるき君に顔を歪めてほしくなくて、首を振って否定する。



｢本当に？無理してない？｣



｢うん。｣



そう言っても抱きしめようとするから、大丈夫だと首を振って胸を押す。



でも泣いているあたしは力なく腕を突っ張るしかできなくて、はるき君に容易く抱きしめられた。



｢嬉しいって、俺がいることが？｣



一気に距離がなくなって、あたしの耳にはるき君の優しい囁きが入っていく。



本来なら自惚れているような発言だけれど、あたしの気持ちが伝わったと思えばありがたい。