heart and cold~私には貴方だけ~【完】





「……いいの?」



あごをそっと持たれて、再びクイッと上を向かされる。



バチッと目があって、思わず目をそらす。



「ちゃんと俺のこと見て…」



囁く声はあまりにも色っぽくてゾクゾクする。



駄目だ。



この囁きに耳を貸してはいけない。



目なんか合わせて見ろ…



今度こそ本当に、落ちる…



「璃花」



ドキッ



どうして余裕の無いときにばかり名前で、しかも甘い声音で呼ぶのだろうか。



策略にはまっているみたいでいささか腹が立つ。



ギュッと目をつむって、こみ上げてくる感情を抑えた。



…抑えるためにつむったのに





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