heart and cold~私には貴方だけ~【完】





「そんなに身構えられても…」



頬に柔らかい感触を感じて、同時にチュッと聞こえた。



「ッ…!身構えてな…ちょっ!」



目を開けると唇が触れそうで触れない距離で視線がかちあった。



「そんな、近くで!」



カァッと火照っていた頬がますます熱を持つ。



「綺麗だったからさ…」



話しながらゆっくり、もはやあたっている唇をどんどん近づけてくる。



「ちょっとちょっと、」



わずかでも距離をとろうとしてもさすがに無理で、柔らかな唇があたしのそれと重なって体中に電気が走ったみたいになる。



ビリビリして体が動かない感覚になる。



抵抗しきれないのは、好きだから。



でも簡単に受け入れるのは嫌というあたしの我が儘に彼を付き合わせている。



ふと、唇が離れた。



「帰りたくなくなった?」



口角を上げながら上目遣いで聞いてくる彼にまた心臓が跳ねた。



きっと動揺させるためなのに、ガッツリ策略にはまってしまった。





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