heart and cold~私には貴方だけ~【完】
振り返ろうとすると、抱きしめる力が強まってはるきくんを見られない。
「勝手に入ってごめん。驚かせようと思ったんだ。でも璃花が泣いているから…」
「大丈夫だよ。思いだし泣き?みたいなものだから…」
そう口にするとまた浮かぶさくらのこと。
「さくらって子のこと?」
「え?ううん…違うよ。大丈夫だし。」
引きずっているなんて思われたくなくて誤魔化す。
「大丈夫って言われるのは璃花の方だよ。」
まるであたしの話が耳に入っていないみたいな答えが返ってくる。
…違うって言ったのですが。
「璃花にはさくらがいなくても俺がいるから、大丈夫だよ。」
後ろからあたしの頬に優しく唇が触れた。