heart and cold~私には貴方だけ~【完】
───さくらがいなくても…
その言葉が胸に響いた。
「あたしね、はるきくんもさくらと同じだって思っていたんだ…」
「え?」
はるきくんが固まる。
「初めて会ったとき、とても優しくしてくれて嬉しかった。でも、名前を聞いたときに“さくら”が入っていたから。もしかしたらまた辛い目に会うのかもしれないって思った…」
あたしは胸の前でクロスされたはるきくんの腕に触れた。
「今はそんな馬鹿みたいなことないってわかっているけれどね。」
「うん…」
少し腕が緩んだすきにクルッと首だけはるきくんに向く。
おでことおでこが触れるほどの近さ
なのに不思議と恥ずかしさはなかった。
チュッ
一瞬触れるだけのキスをあたしからした。